西洋とアジアの壁
なぜ違う文化が同じ環境にいるのだろう?
同じ時期に同じ都市の同じ学校の同じクラスの人間。
俺はこういうのは偶然の出会いではなく必然だと思ってる。
なぜならこの世界の数多くの選択肢の中で自分で選んだからだ。
流れによって生まれたものではない。
ただ悲しいかな、同じ時を同じ場所ですごしてはいるが、けっして分かりあえるはではない。
ここにあるフランス人が居る。
いかにもフランス人というわけではないが、毎週のようにクラブに行き新しい友達、もしくはたまに夜のお相手を作っている。
彼は会うたびに女の子の話や、プールパーティーといった、日本人やアジア人には少々馴染みがない話を持ち込む場合が多い。
今こいつがある一人の台湾人の女性に興味を持っている。
なんとかしてその女性とメル友になりたいと思っているそうだ。
いつも彼は僕にアドバイスを求める。
この2年で培ってきた外人への、アジア人への経験を聞きたいために。
そこで俺はこうアドバイスをした。
「もしその台湾人と本気でお近づきをしたいなら、もしかしたら他の関係を切らないといけないかもしれないよ」
フランス人は、
それはナンセンス、意味がわからない。
他の人と関係を切ってその人と関係を持ったって、その女と関係切ったら何にも残らないじゃん。と言った。
ポイントはそこじゃない、俺が言いたかったのは、そうやってメル友掲示板で絶えずメル友作りまくって、不特定多数に女と遊ぶ男を好きになるアジア人はなかなかいないよ、ということだ。
ましてや、すでに学校には浅いながらも彼を毛嫌いする声も少々あった。これ以上うわさによる汚名は着せるべきではないと判断しての発言。
しかしここで彼は切れる。
「なら、アジア人と付き合う価値はないね、馬鹿じゃないの?そんなことまでして一人の女に集中するメリットはない。別れたらそこでおしまい。俺にはアジア人の文化は関係ないね、だって俺はアメリカにいるんだもん。何言ってんだよ、ホントに。」